ニュースレター

2022年 10月 1日発行
<ご挨拶>

気持ちの良い青空が広がり、冷んやりとした秋風が吹いてくる季節になりました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

数日前、散歩をしていたら甘い香りが漂ってきました。あっ金木犀だ!と思って、
我が家の金木犀を見てみたら、こちらもオレンジ色の小さな花がたくさん咲いています。
申し合わせたように一斉に咲くのが不思議だ、といつも思います。

我が家の庭は、まだ枝豆がたわわに生っている状態。これから収穫しておいしく実った枝豆を
いただきます。そのあと、麦を蒔きます。この「豆と麦の繰り返し」で土作りをしている最中。
多種多様なお野菜ができるようになるには、まだ数年かかりそうです。

引き続き、戦時にある人々のことを想い、世界に平和が戻ることを祈念しつつ
「INVC湘南だより・秋号」をお届けします。
話題は次の三つ。

「友産友消」
「ヴィンテージスピーカー」
「敬語の辞典」刊行

温かな飲み物を片手に、お時間のありますときに、どうぞごゆっくりお読みください。

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「友産友消」

前回の「湘南だより・マルシェ色々」で、駅の広場や、古民家や、近くのお家で開かれているマルシェをご紹介しましたが、その後も地元のつながりがどんどん広がっていることを感じています。

例えば、辻堂の近くにあるオーガニック・ショップ。女性が一人で始めたお店ですが、置いてある野菜は、近隣で農業を始めた若い人たちのものが次々入荷してきます。教師から転職して新規就農し、しかも自然栽培にこだわった野菜作りをしている人や、子育て中の若いカップルが無農薬で育てたお野菜などが並びます。個人で小規模に新規就農し、無農薬・有機にこだわる野菜作りをする若い人が増え、それを近隣の小さなオーガニック・ショップが支援しているという温かな関係が見えます。

このオーガニックショップは、店主の料理もいただけるカフェでもありますが、店主以外にもこのお店の場所を借りてワンコインのモーニングやおにぎりランチなどを出している人もいます。このお店の場所を「料理の創り手」と「それを楽しみに食べにくる人たち」に提供しているわけです。

午後にはボードゲーム大会の場となり、学校帰りの子どもたちや親で賑わいます。キッズ料理教室というのもあり、何度もやっている子どもたちは包丁の手さばきも見事! 子どもの頃から自分の食べたいものを上手に料理できたら幸せですね。この他にも「保育士の読み聞かせの時間」など、いろいろなイベントが行われます。

店主による「オーガニックショップの作り方講座」というのもあり、自分で自宅の一部を利用してお店を開きたいと考えている人が、受講後に実際にお店を開いているようです。こうやって、街のつながりの拠点となるようなお店が、若い世代の間で広がっていっているのを実感します。

友産友消【ともさん・ともしょう/friendship economy】という言葉を知りました。
NGO団体・ナマケモノ倶楽部が提唱するムーブメントで、友達が作ったたものを友達がおいしく食べたり、使ったりしていこうという考え方です。「地産地消」よりもっと自由で近い関係をを感じますが、これがまさに今私の周りの湘南地域で起きていることなのだと思います。湘南には、料理やお菓子作り、パン作りの上手な人、こだわって野菜を作ったり、調味料を作ったりする人、器や服やアクセサリーを手作りする人、イラストや絵を描く人など、若い創り手やアーティストがたくさんいます。その人たちの友達がカフェやパン屋さんやオーガニックショップやマルシェを通じてどんどん友達の輪を広げていく様は本当に心温まる光景だなと感じます。「友達の絆」が「地元の絆」につながっていくような "friendship economy" は素晴らしいと感じるこの頃です。

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「ヴィンテージ・スピーカー」

もうかれこれ40年前に初めて都内に建てた小さな家。もう人手に渡っているのですが、買い手の女性は家を気に入って「ブラウン・ハウス」と名付け、アンティーク家具を上手に使って素敵にリフォームし、そのまま住んでくださっていました。が、今回手放すことになり、どうも壊されてしまうことになりそうだと連絡をもらいました。それは仕方のないことなれど、実はその家の天井には夫が当時設置したスピーカーが3セット入ったままになっていたのです。音楽好きの夫にとって、壊されて捨てられるにはあまりにももったいないということで、取り出すことに。メーカーはアルテックとエレクトロボイス で、今はもう生産されていないヴィンテージ・スピーカーです。

私たちが行って取り出す予定だったのが、日程が合わずに行けなくなり、一旦は取り出すのを諦めたのですが、中三の孫が「やってみるよ」と言ってくれて、湘南と都内をつないでの「スピーカー救出作戦」となりました。まず、Face Timeで現場を映してもらい、夫が湘南から画像を見ながら色々指示し、その通りに糸鋸で天井を切って取り出してもらいました。家の鍵を持ち主に返す前に、玄関から、一階、二階と、ゆっくり家の中を歩きながら映したビデオを送ってくれて、かつて若い頃に住んだ懐かしい家とお別れできました。

さて、取り出しには成功したのですが、やはり修理が必要なようでした。修理をしてくれるところはあるのかとネットで探した結果、ヴィンテージ・スピーカーの修理を専門にやっているサイトを見つけました。電話をしてみると、「今のスピーカーは作りが良くないので修理できずに捨てるしかないけれど、レコード時代のスピーカーはしっかりできている。修理をすれば音もいいので、自分たちはこの「文化遺産」を継承するためにやっているのだ」との熱いメッセージ。気持ちが伝わってきたので、修理をお願いすることに。


最近はレコードがリバイバル。駅前のビッグカメラの音響フロアにも、レコードプレーヤがずらっと並ぶようになりました。我が家も、これまではCD中心でしたが、仕事場にレコードプレーヤを置き、手元に残しておいたLPを全部出してきて、懐かしく聴き直してています。なぜか、レコードの音の方が穏やかでまろやかに感じます。このレコード時代にできたアルテックとエレクトロボイス 。なんでも使い捨ての世の中にありながら、こうして「文化遺産の継承」だと言って、修理をし復元してくれる人がいることは、ありがたくまたうれしいことです。修理の依頼件数はかなり多いらしく、価値あるものは使いたいと思う「往年のオーディオファン」の存在も垣間見えます。我が家のスピーカーの修理も年内にできるかどうか。ゆっくり、楽しみに待ちたいと思っています。

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<「敬語の事典」刊行>

出版物のご報告を一つ。荻野綱男先生が編纂された「敬語の事典」が九月に朝倉書店から出版されました。私も第1章の1項目を担当執筆しました。実はこの原稿は私が16年前に湘南に引っ越してくる以前に書いたもので、これほど長期間かかったということは、704頁、執筆者60名弱という、この大規模な事典編纂が大変なものであったことを物語っているようです。無事、刊行の運びとなり、執筆者の一人としても大変うれしく思います。

「はじめに」によれば、「日本語の敬語のさまざまな面を総合的に扱う」敬語事典とあり、
次の7つの特徴が挙げられています。

1) 敬語を言語行動の一部として捉え、敬語の使い方に広げて考えている。
2) 敬語自体を、言語表現だけでなく、音声・文字・表記・パラ言語・非言語行動まで含めている。
3) 敬語を時代的変遷、地域的変種、社会的変種(年齢差・男女差・職業差)から解説している。
4) 外国語との対照研究としてアメリカ、韓国、中国を取り上げている。
5) これから敬語研究を目指す人のために、敬語の研究法に言及している。
6)敬語の教育の現状を、子どもへの国語教育と外国人への日本語教育の二方面から解説している。
7)周辺の学問分野での敬語研究として、自然言語処理、文化人類学、心理学、社会心理学を取り上げている。
 
これらの特徴のうちの2)に関連して、

第1章 敬語の捉え方ー現代日本語を中心にー
1.5 敬語の周辺 1.5.4. 非言語行動と敬語

という項目を担当しました。図書館などで見かけられましたら、お読みいただけるとうれしいです。

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次回の「INVC湘南たより」は[湘南の冬]をお届けします。

このNLはこれまでご縁のあった方々にお送りしております。
ご不要の方は、ご一報いただくか、
HPの「ニューズレター」の項目からご自身で解除していただくことができますので、
お手数ですがよろしくお願いいたします。

ご感想や近況をお知らせ頂ける方は、以下のアドレスへお願いいたします。
    東山安子:ytprimrose09@gmail.com
みなさまからのお便りを、心からお待ちしております。

それでは、木々の葉が黄色やオレンジに色づき始めた湘南より、
世界情勢が一歩でも平和に近づきますよう、
そしてみなさまの日々の暮らしが少しでも穏やかで希望に満ちたものになりますようにとお祈りして。

Intercultural Nonverbal Communication
INVC暮らしとアートの研究所  東山安子
https://nonverbal-invc.com
 










 

 



 
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