ニュースレター

2020年 4月 19日発行
<ご挨拶>

みなさま、お元気でお過ごしでしょうか。
前回の新年号をお送りしたときには、穏やかな一年の始まりでしたが、
今や世界の状況は一変してしまいました。

江ノ島の大きな空、そこを悠々と飛ぶ鳥たち、濃紺の大海原、美しい富士山、
そういった大きな自然はいつにもまして美しいように見えますが、
島へ渡る弁天橋も空いているし、江ノ電も空いています。
一人ひとりが今の状況を的確に理解して日々暮らすことが
求められている、そう感じます。

昨日、激しい雨が上がった後、様々なものがすっかり洗い流されて、
空気が澄んでいるように感じました。そして、美しい虹が大空にかかりました。
少しでも世界の状況がよくなることを祈りつつ、
今回の『湘南だより』では、今の湘南の暮らしの変化をお伝えしようと思います。

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<参考にしていること>

様々な報道がなされていますが、我が家で参考にしていることは4/15に出された
厚労省クラスター対策班の感染症専門医等の話です。

<社会的接触を8割以上減らすことは必須>
  「社会的距離」: 会話しても確実に飛まつが届かない距離(2m)
  「接触」 a) 医学的接触ーせき・くしゃみ(飛まつ感染)、ボディータッチ(接触感染)
    b) 社会的接触ー2m以内の距離で30分以上話すこと
          1日の接触人数を、10人→2人に減らす
 
・8割の接触削減 → 2週間程度で感染者の数を減らす方向に向けられる。
・7割の接触削減 → 倍以上の1か月以上かかる。
・6割の接触削減 → 緊急事態宣言以降の外出自粛による現状。
          このままでは現状横ばい程度で推移することになる。

<8割の接触削減を実現するには?>
(1)感染リスクが高い場所には自ら行かない。
   スポーツジム、ライブハウス、夜の歓楽街や密閉空間は避ける。

(2)向かい合って食事をしない、2m以上の距離をあける。
   向かい合って食事をすると、飛まつが食事に落ちて感染する。
   会話をする場合は飛まつが飛ぶのでさらにリスクが高くなる。
   黙って食べても、吐く息に大量のウイルスが存在するため、2mの距離を保つことは必要。

(3)電車に乗らない。リモートワークに切り替える。必要な出社は時差出勤。
   週5日勤務なら1日出社にする。5日→1日だと5分の1となり、8割減達成が可能。
   電車に乗らない。出勤せざるをえないときは時差出勤することで幾分は軽減可。

(4)公園で会話や食事をしない。
  子どもを公園で遊ばせることはOK。しかしその傍らで親が井戸端会議をしたり、
食事をしたりするのはNG.

(5)複数のジョギングは距離をあける。
外でジョギングすることは、一人でも数人でもOK。数人で行く場合には距離をあけて走る。
     その後一緒にビールを飲みに行ったり、休憩所で長時間会話するのはNG。

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<我が家の暮らしの変化>

我が家では、上記のことを理解して暮らしを変化させています。

一つは、徒歩圏内で暮らすこと。
都内へ出かける時に乗っていたJRや小田急線はもとより、今はすでにガラガラに空いている江ノ電も乗らないことにしました。車にも自転車にも乗らないので、「歩く暮らし」です。本にも書いたようにYorkにいた一年も歩く暮らしでした。これまで、買い物や本を見に行くなどで、週に何度も街に足を向けていましたが、用事があるときだけとし、食材の多くは宅配を利用しています。こういう時は、宅配のありがたさが身にしみます。

二つ目は、人と会う機会を減らすこと。
電車に乗らない選択をした段階で、都内にいる孫や母には会えないことに。孫は小一と中一になるのに、未だに入学式を終えていません。Face Timeで少しだけ会えます。93歳になる母には、「母の日には訪るるやと今しばし希みをもちて吾娘らを待たむ」と短歌に詠まれてしまいましたが、今は致し方ありません。Webで紹介されていたデザイナーの人の言葉「今会わないのは、また会いたいから」をいつも心に刻んで行動しています。

三つ目は、仕事はオンラインにすること。
まず、毎月のセミナーをどうするかを考えました。今まで通りにすると電車に乗ってきてもらわなくてはなりません。これまでの積み重ねを考えると、ここで休みにするのはあまりにも残念! そこで、思い切ってオンラインですることに。幸い大学で教えている参加者たちは、すでにオンライン授業のための資料を渡されていて、練習を始めていたようです。教えてもらって、なんとかZoomとLineを使ってセミナーを実施できました。旧知の編集者もSkypeを始めたと連絡をくれたので、早速連絡してみることにしましょう。

四つ目は、散歩をするとき、場所や時間帯を選ぶこと。
湘南にはありがたいことに大きな海と大きな空があり、海岸を散歩したり、潮風に吹かれながら海を眺めたりできます。鵠沼海岸は海岸線が本当に広いので、人が増えたとはいえ、社会的距離は問題なく取れます。サーファーはいつも通り、波乗りを楽しんでいます。川沿いの散歩道は、歩いている人やジョギングをしている人がかなり増えてきました。こういう時は時差通勤ならぬ、「時差散歩」。お昼頃は空いています。のんきにしているようですが、専門家の言うポイントはしっかり把握し慎重に行動することと、精神をできるだけ明るく、自由にしておくことを両立させておくことが、今のような困難な状況では必要なように感じています。

五つ目は、いつにも増して地元の小さなお店を応援すること。
いつも応援している小さな地元のお店、この状況でどうしているか気になっていました。インスタを見ると、テイクアウトを始めていて、朝ピラティスと朝ヨガがなんとオンラインで始まっているようです。いつものミニシアターは閉まっています。次はリンドグレーンの作品が上映予定だったのですが。早く再開できる状況になりますように。このミニシアターでパンを焼いていたお店が独立することになり、クラウドファウンディング中。もちろん、応援しました。開店したら、「食べると一日中幸せ感に包まれるパン」を買いに行きます! これらの小さなお店の店主たちはみな、自分の生き方を持った女性たち。元気をもらえます。

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<新型コロナの副次的効果:地球上に住むひとりの人間として考えること>

世界で多くの人が亡くなり、医療崩壊が起き、それでも感染が収まらないという悲惨で困難な状況が続いています。こういう状況をもたらした新型コロナがこなければよかったーもちろんそうであるとは思いますが、今こうして来ているからには、人間たちに何かを伝えに来たのではないかと思い、自らの行動を省みるようにしています。

インドに在住している友人からは、都市封鎖が延長となり、ロックダウン第2章が始まったと聞きました。暮らしは制限されていて大変厳しいようですが、工場の閉鎖や公共交通機関の停止、建設工事のストップなどにより、PM2.5の値が劇的に下がり、大気汚染が大幅に改善されているとのこと。青空が広がり、これまでかすんで見えなかったヒマラヤ山脈が眺望できるようになったと感激のメールが届きました。

イタリアの水の都ヴェネチアも死者が多く悲惨な状況です。しかし、観光客の出すごみがなくなり水上交通量もほぼ皆無となって、きれいに澄んだ運河の水が住民の目を楽しませていると報道されています。これまで運河の水は、底にたまった泥がモーターボートで巻き上げられたり、観光客の捨てたポリ袋やごみが浮かんでいたようですが、今は水の中で泳ぐ小さな魚や、鵜やシラサギの姿が見られるといいます。「自宅にとどまろう。そうすれば自然はあなたに感謝する」というコメントがFBに挙げられているようです。

マスクが買えなくて大変な状況ではありますが、手作り派の私は自分で作ればいいのにと始めから思っていました。性能は違うとはいえ、無いよりは作った方がいいのでは。<何でも買う>から<少しは作ってみる>へと、少し発想が転換されればいいなと思います。フェアトレードのお店 People Treeのサイトには、縫い方の難易度別に三種類のマスクの作り方が載っていますし、私がいつも布を買う京都のリネン屋さんは、布と「マスクの型紙と作り方」をセットにして売っています。

過労死という言葉がそのまま欧米で通じるような、仕事中心の日本の働き方を思えば、在宅やリモートワークが奨励されている今の状況は、必ずしも悪いわけではないでしょう。もちろんすぐにそういう状況に適応して能率よく仕事ができるわけではないけれど、試行錯誤すること自体が良いことのように思われます。毎朝の満員電車に乗らないだけでも、仕事にそのエネルギーを向けられます。

公園や散歩道では家族で歩いている姿が多くみられ、近所ではお父さんと一緒に高校生の息子さんたちが車を洗っていたりなど、今まで見たこともないような光景も目にします。子どもたちにも時間が戻ってきているのでしょう。親たちは在宅ワークをすることで、家族と共に過ごすかけがえのない時間を楽しんでいる様子もうかがえます。手料理することも、通勤時間のない在宅ワークで時間が取れるからこそ。家族で一緒に夕食を囲むこと、実は日々の当たり前の光景のはずです。

『暮らしの中ののんばーばるコミュニケーション』に、ミヒャエル・エンデの『モモ』について書きました。”Time is money” から” Time is life”へ。大切なのは命と暮らし。今回の”Stay at home” は、 ”Time is life”につながる生き方のように思えます。私自身は、今のこの時間を、地球と人の暮らしの関係に想いをはせる時間と捉え、日々変化する世界の様子を注視しながら、静かに思考を巡らせたいと思っています。

次のニューズレターを書くときには、様々な意味で世界の状況が少しでもよくなっているようにと祈りつつ。 みなさまも、くれぐれもお身体ご自愛くださいませ。

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次回の「INVC湘南たより」は[湘南の夏]をお届けします。

このNLはこれまでご縁のあった方々にお送りしております。
ご不要の方は、HPの「ニューズレター」の項目からご自身で解除していただくことができますので、
お手数ですがよろしくお願いいたします。

ご感想や近況をお知らせ頂ける方は、以下のアドレスへお願いいたします。
    東山安子:ytprimrose09@gmail.com
みなさまからのお便りを、心からお待ちしております。

それでは、大きな空、濃紺の大海原、富士山が美しい湘南より、
地球の状況、世界の状況が少しでも好転するようにとお祈りして。

Intercultural Nonverbal Communication
INVC暮らしとアートの研究所  東山安子
https://nonverbal-invc.com








 

 



 
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