ニュースレター

2018年 7月 6日発行

みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

今年は梅雨明けが早く、海開きの7月1日は海水浴を楽しめる”夏の日”となりましたが、
その後は、また梅雨に逆戻りしたようなお天気です。

6月は梅雨というほどには、しとしと雨の日がなかったためか、
紫、赤紫、青、水色、ピンクなど、色とりどりの紫陽花が雨の中で美しく咲いている姿が
あまり印象に残らなかった年のように思えました。

紫陽花よりも、今年目についたのは、私の好きな「アカパンサス」。
すーっと長く伸びた茎の先に藤色の花が咲き、ボールのようなまん丸な形になります。
華道を習っていたとき、この季節には生けていたことを想い出します。

ついこの間まで巣作りをしていた「カワセミ」は、ヒナたちが無事に巣立ったようです。
江ノ電の駅の改札口にさーっと入っていく鳥は「ツバメ」です。ヒナの鳴き声が聞こえます。
改札口近くの低い天井を見上げると、エサを求めて黄色いくちばしを大きく開けているヒナたちが。
ツバメは人家の近くに巣を作ると言われ、人間を信頼してくれているのだなあと
毎年、ヒナの姿を見かけるとうれしくなります。

江ノ島の弁天橋はいつもにぎやか。
トンビが悠々と飛ぶ大きな空、ヨットが白い帆をあげて滑っていく濃紺の大海原、ブルー富士、
赤、橙、黄、ブルーなど色鮮やかなウィンドサーフィンを楽しむ人々、波待ちのサーファーたち、
海岸で暑い日差しの中、海の家や砂浜で"涼しい風"に気持ちよく吹かれている人たち、
そう、 「湘南の夏」がやってきます。

今回のニューズレターでは、二つのactivity reportをお届けします。

その1 明海大学英米語学科同窓会<明英>にて 2018.6.23
慶応義塾大学名誉教授・明海大学名誉教授  小池生夫先生のご講演
        「英語教育政策200年史の中での明海大学外国語学部英米語学科
            1988~2009年の輝き」

その2 専修大学英語英米文学科にて 2018.6.28
講演:東山安子 「暮らしの循環とノンバーバル・コミュニケーション」

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<activity reportーその1>
明海大学英米語学科同窓会<明英>にて 2018.6.23
名誉教授 小池生夫先生のご講演
     「英語教育政策200年史の中での明海大学外国語学部英米語学科
      1988~2009年の輝き」

6月23日、恒例の「明海大学英米語学科同窓会ー明英」が開かれました。
ここのところ、新浦安駅前のブライトンホテルでの開催でしたが、
今年は大学図書館で講演がセットされていました。実はそれには、訳が!

25年間通った懐かしい道を、久しぶりに歩きました。
図書館・メディアセンターは、 2000年に新館が既に建っており、
最上階にある見晴らしの良い会議室で授業をしたこともありました。
入ってすぐ左にはコンピュータ室が広がっていたはず・・・・・ところが、
えっ! なんとMeikai Learning Commons と呼ばれる素晴らしい空間に様変わり!
扉はなくなり、奥まで見渡せるようになっており、手前に講演スペース、
奥には図書館の本やPCを使いながらゼミができるようなスペースが、広がっています。

これだけでは、扉を開けてオープンにし、静かに黙々と勉強する図書館だけでなく、
学生たちが共に本や資料を使って話合いのできるスペースを加えるという
最近のトレンドの一つとも捉えられるのですが...
なんとも素晴らしかったのは、そのデザイン性と色使いと素材感!
実にアーティスティックな空間になっていました。

私はノンバーバル・コミュニケーションの話をするとき、「空間・時間」「アート・色」は
人がコミュニケーションをとるときに大変重要な役割を果たしていると力説するのですが、
まさにそれを私が長年勤めていた勤務校が実現してくれていたとは!
本当にうれしく思いました。この空間でゼミをすれば、アイディアが湧いてきて、
創造性あぶれるゼミレポートが仕上がるはず。学生たちのmotivationも上がるとおもいました。

さて、その素敵な空間で行われた小池生夫のご講演は、日本の英語教育政策200年史を紐解く、大変貴重なものでした。小池先生は英語教育の道64年。長年日本の英語教育や応用言語学に多大な貢献をされ、昨年の七月、国際応用言語学会(AILA:International Association of Applied Linguistics)の世界大会で、アジアから初めて名誉会員の称号を授与された方です。

ご講演のテーマは、英語教育政策200年史。江戸時代の幕府英語教育の切っ掛けとなったフェートン号事件から始められました。明治元年には正則式教授法(英語を母国語とする教員から英語で授業を受ける)と変則式教授法(日本人教員が訳して教える)が存在し、大正時代にはPalmerなどのOral Method, EFL辞書開発などが行われる一方、受験英語の影響もあり変則式が主流となり、Grammar translation Methodが確定されたそうです。英語廃止論も10年に一度おきると言われます。

昭和に入って第二次世界大戦が勃発し、英語教育担当教員も戦地に赴く時代。英語は敵国の言葉とされました。戦後は米国流教育制度が導入され、一転して英会話本がパンのようによく売れたとおっしゃいます。1960年、第一回英語教育改善協議会の座長は市河三喜氏、1974年の第二回の座長は小川芳男氏、そして1991年の第三回の座長を小池先生が務められました。

文法翻訳かコミュニケーションかという「英語教育大論争」が起きたのが1975年。この後、コミュニケーション中心の教育へと舵が切られます。この流れの中、1988年に明海大学にもコミュニケーションを中心とした国際化教育を目指す「外国語学部・英米語学科」が設置されます。

小池先生は平成元年に主査として、高校英語に「コミュニケーション」を初めて導入され、1992年には、外国語教育の改善に関する調査研究協力者会議の座長として、小学校英語教育導入を提案されるなど、一貫してコミュニケーション中心の英語教育を牽引されてきました。そして、1996年、明海大学に日本で初めての「応用言語学研究科」を設置されるために着任され、研究科長であられた2008年までに、修士約120名、博士約30名を送り出されました。

<英語教育政策:第8期>
2004年、大学入試センター試験に英語リスニングテスト施行テスト導入。
2009年、小学校5.6年生に「外国語活動」導入。
2013年、小学英語早期化、教科化、閣議決定。文科省「CANDOリストでの到達目標設定の手引き」「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を発表。
2016~2018年、戦後最大の学習指導要領改訂と大学入試改革方針決まる。英語教育政策の4技能体制への移行。

小池先生は以上のように英語教育政策に直接関わられた経験を元に、現在までの200年の流れをお話されました。そして、この流れの中に30年ごとに政策転換の傾向が見て取れると分析され、それを「30年周期仮説」と名付けられました。上述した第8期が現在までの動きです。最後に第9期となる2035までに何が起きるかについて、予想を話されました。30年周期は、初めの10年が変革期、次の10年が調整期、そして最後の10年は、次の変革に向けて準備が始まる時期とお考えで、「民族性の維持とグローバリズムの襲来がぶつかるのは明治維新の時代と似たところがある」と締めくくられました。

先生は研究科長であられた時と変わらずにお元気で、背筋が伸びて姿勢良く、終始穏やかな笑顔で話されました。日本の英語教育政策の変遷の流れの中での、明海大学外国語学部英米語学科、及び応用言語学研究科の設立の意義を再認識できた時間でした。卒業生たちもこの流れの中に自分たちがいたことを振り返ることができたことと思います。ご講演のあとは、キャンパス・ツアーとして、新しく生まれ変わった教室や教職課程センターなどを回り、ホテルエミオン東京ベイでの懇親会で楽しい歓談の時間を過ごすことができました。

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<activity reportーその2>
専修大学英語英米文学科にて 2018.6.28
講演:東山安子 「暮らしの循環とノンバーバル・コミュニケーション」

毎年この時期になると専修大学の生田キャンパスを訪れます。
坂を上がった山の上にあるキャンパスからは、生田緑地の緑が美しく見えます。
子供の頃に亡き父がよくハイキングに連れて行ってくれた枡形山や日本民家園も近く、
毎年ここに来るのも不思議な縁だと思います。

講演の内容は、「コミュニケーションとは」、「ノンバーバル・コミュニケーションとは」に始まり、
書き言葉中心のメディアである「メールに頼るコミュニケーションの弊害」をお話しし、
人間らしい暮らしを取り戻すには「五感を開いて自然の循環を感じること」、
それが「face-to-face communicationを原点とした穏やかな暮らしの循環」につながる
とお話ししました。

講演を聞いてくれた学生たちは、用紙に小さな字でぎっしりコメントを書いてくれます。
これを読むのが私の一番の楽しみです。どういう点に共感してくれたのか、
今の若者たちが何を考えているのかなど、関心を持ってじっくり読みます。
そして、彼らに<返事>を書いてフィードバックすることを大切にしています。
私のメッセージが自分たちの日常を見直す切っ掛けとなり、それぞれが幸せを感じる未来へ向かって
一歩一歩、歩いて行ってもらえたらと、毎年願います。

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次回の「INVC湘南たより」は[湘南の秋]をお届けします。

ご感想や近況をお知らせ頂ける方は、以下のアドレスへお願いいたします。
    東山安子:ytprimrose09@gmail.com
みなさまからのお便りを、心からお待ちしております。

それでは、しとしとと雨の降る湘南より、
みなさまの日々が穏やかで希望に満ちたものでありますようにとお祈りして。

Intercultural Nonverbal Communication
INVC暮らしとアートの研究所  東山安子
http://nonverbal-invc.com






 

 



 
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所在地:神奈川県藤沢市
活動場所:湘南・江ノ島

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